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2005年01月27日

待機中の死

今晩は管理人です。さて、いつも移植に関しての成功した話しばかりを書いていますが、このサイトを読んで頂ける方には、悲しい結果に終わった事実にも気づいて頂きたいと思います。アメリカでは現在小児からの臓器の提供を受けることができますが、それでも、待ちきれない場合もあります。
 以下の話しは医学的な正確さにはつとめていますが、フィクションであり、実在の患者さんを指し示すものではありません。その点はご了解下さい。

 その患者さんは、6ヶ月になったときに、移植外科に紹介されてきました。出生児未熟児で生まれ、2ヶ月目に、壊死性腸炎をおこし手術で大量の小腸を切除しました。腸からの栄養吸収ができず、中心静脈栄養に頼っていました。
 最初は小腸移植の予定で術前の検査にこられましたが、ご家庭の事情もあり、すぐに移植予定とはなりませんでした。
 ところが、しばらくすると急速に肝機能が悪くなり、肝不全となりました。小児の未熟な肝臓はしばしば、高カロリー輸液に耐えられないことがあり、肝不全になることが知られています。
 最初の検査から4ヶ月経ったところで、肝不全が進行し、そんなにはもう待てないとのことで、肝臓も含めた多臓器移植の予定となりました。ところが、入院から、10日経ってもドナーが現れませんでした。患者さんは肝生脳症も引き起こし、消化管出血も併発して、11日目にはICUへ移送となりました。また、移植のリストはStatus1という、全米から臓器の提供が受けられる順位に上がりました。
 しかし残念ながらICUに移ってから5日経ってもドナーが現れません。そして、その朝に大量の消化管出血を引き起こしました。肝不全の患者さんは、血液が固まりにくく、出血しやすい血管がたくさんあるのです。ICUチームの懸命な処置にもかかわらず、容態は改善せず翌朝、お母さんにだかれながら11ヶ月の短い生涯を終えました。

 アメリカでもドナーが現れてくれなければ、残念な結果を迎えることになります。子供の脳死が認められていない日本ではどうでしょうか。

投稿者 管理人 : 2005年01月27日 22:19

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