病棟の管理についても、日本とは大きく異なっている部分があります。このページでは病棟のお作法について順次書いていきたいと思います。
包交 (Dressing Change)
日本では術後の患者さんの傷口を消毒して包帯を交換することを包帯交換、略して包交といいます。そのために回診車という物が回診についていくくらいなのですが、ここでは包交というものは基本的にありません。傷は、よっぽど滲出物が多い場合を除き消毒もしませんし、ガーゼも当てません。まったくそのままです。
もしきずのガーゼを交換する場合でも、不潔(これは外科用語で滅菌していないという意味、消して不潔ではありません。)でそのままガーゼを手づかみで交換するだけです。日本みたいにちまちまとピンセットで消毒したりはしません。それでも特に傷感染が多いというわけではないのでコストのことを考えるとこれでいいのかもしれません。
食上げ(Diet)
術後の食事については日本だったら、水→流動食→三分粥→五分粥→7分粥→全粥→常食というところになるのでしょうが、アメリカだとそもそもおかゆというものが無いのでClear
fluid(水)→liquid diet(流動食)→general diet(常食)ということになります。もちろんMechanical
soft diet(刻み食)というのもありますが、日本と違って一足飛びです。しかもClear
fluidがコーラだったりするところが驚きです。
点滴(IVF)
点滴に関して日本と商品名が違う(日本ではT1とかT3とかいうのですが、こっちではNSとかD5
1/2NSになります)。のはもちろんですが、一番感覚的に違和感があるのは量の単位です。日本では一本が500mlが普通なのですが、ここでは1000mlがひとつの単位になっています。体の大きさが違うので体重を見るとポンド単位ではないかと思う人がほとんどです。でも実際には移植外科ではKg単位なので違うのですが。ちなみに100ポンドは45kgになります。
それから、点滴の速度も1/4の単位です。25→50→75→100→125→150と変えて生きます。日本では20→40→60→80とかわっていくので、お金の計算の違いもこういうところに出てきているのですね。
刺物(Sticks
刺物(CVカテとか肝生検などに関してもアメリカ人は大体太っている人が多いので、日本人に比べると皆非常に深くなります。CV
かても18cmなど入れる必要がある人がいたり、生検などでも針が届かないという人が出てきます。
血算・生化(CBC, Lytes)
これは日本でも知っている方が多いと思いますが、アメリカやイギリスでは血算・生化の書き方に決まった様式があります。これは結構便利なので、日本でも取り入れてくれないかな。
更新記録
●2002年5月13日:新規掲載
●2002年7月10日:血算生化を追加しました。